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バイクのチェーン用品を探すと、「チェーンクリーナー」と「チェーンルブ」が並んでいます。
名前は似ていますが、役割はまったく同じではありません。
チェーンクリーナーは古い油や汚れを落とすための洗浄剤、チェーンルブは清掃後のチェーンを潤滑し、サビや摩耗を抑えるための潤滑剤です。
片方だけで済ませたり、順番を逆にしたりすると、せっかくのメンテナンスが中途半端になることがあります。
この記事では、チェーンクリーナーとチェーンルブの違い、使う順番、清掃から注油までの基本的な作業手順を初心者向けに解説します。
シールチェーンへの対応、タイヤやブレーキへの飛散防止、作業中にエンジンをかけない理由も確認していきましょう。
- チェーンクリーナーとチェーンルブの役割
- クリーナーだけ・ルブだけでは足りない理由
- 清掃から注油までの正しい順番
- シールチェーン対応製品の確認方法
- 吹き付ける場所と余分なルブの拭き取り方
- タイヤやブレーキへ飛散させないための安全対策
- 初心者が避けたい危険な作業方法
チェーンクリーナーとチェーンルブの違い
チェーンクリーナーは「落とすもの」、チェーンルブは「潤滑して守るもの」です。
基本の順番は、チェーンクリーナーで汚れを落とし、水分や洗浄成分を拭き取って乾燥させたあと、チェーンルブを塗布します。
- チェーンクリーナー:古いルブ、砂、ホコリ、油汚れを落とす
- チェーンルブ:ローラーやシール周辺を潤滑し、摩耗・サビを抑える
- 使う順番:クリーナー → 拭き取り・乾燥 → ルブ → 余分なルブを拭き取る
| 比較項目 | チェーンクリーナー | チェーンルブ |
|---|---|---|
| 主な役割 | 汚れや古い油を落とす | 潤滑・防錆・摩耗の抑制 |
| 使うタイミング | チェーンが汚れているとき、古いルブを落とすとき | 清掃後、洗車後、雨天走行後、油分が少ないとき |
| 作業後 | 汚れと洗浄成分を拭き取り、乾燥させる | 浸透を待ち、余分なルブを拭き取る |
| 単独で使える? | 清掃後は必要に応じて注油する | 軽い汚れなら追い注油できる場合もあるが、ひどい汚れは先に清掃 |
| 購入時の確認 | シールチェーン対応、使用方法、乾燥時間 | シールチェーン対応、用途、定着時間、色や飛散性 |

チェーンクリーナーの役割
チェーンクリーナーは、チェーンへ付着した古いルブ、砂、泥、ホコリなどを落とすための専用洗浄剤です。
汚れた油の上から新しいルブを重ねるだけでは、砂やホコリを抱えた状態が残りやすくなります。
古い油と汚れを浮かせる
チェーンへクリーナーを吹き付け、少しずつ汚れを浮かせます。
製品によってはブラシを併用できますが、シールを傷めにくい柔らかさのチェーン用ブラシを使いましょう。
パーツクリーナーなら何でもよいわけではない
バイクのドライブチェーンには、内部のグリスを保持するOリングやXリングなどのシールを使った製品があります。
強い溶剤や用途の異なるクリーナーはシールへ影響する可能性があるため、所有するチェーンに対応した専用品を選んでください。
洗浄後は拭き取りと乾燥が必要
クリーナーで汚れを落としたら、ウエスで汚れと洗浄成分を拭き取ります。
水洗いした場合は水分も残さず、製品の説明に従って十分に乾燥させてから注油します。
クリーナーは汚れを落とす道具であり、清掃後の潤滑まで完了させるものではありません。
洗浄によって油分が減ったあとは、車種・チェーン・使用製品の指示に従ってチェーンルブを塗布しましょう。
チェーンルブの役割
チェーンルブは、チェーンのローラー、プレート、シール周辺へ潤滑成分を届けるための専用潤滑剤です。
金属同士が動く部分の摩擦を抑え、サビの予防にも役立ちます。
必要な場所へ少量ずつ塗布する
製品のノズルを使い、チェーンの内側からローラーとシール周辺を狙って少量ずつ塗布します。
外側へ大量に吹き付けても、走行時に飛散しやすくなり、ホイールや車体を汚す原因になります。
塗った直後に走らない
チェーンルブは、塗布後に浸透・定着させる時間が必要な製品があります。
必要な待ち時間は製品ごとに異なるため、缶や説明書に記載された時間を守ってください。
余分なルブは拭き取る
全周へ塗布したあと、表面に残った余分なルブをきれいなウエスで軽く拭き取ります。
必要な部分へ入った潤滑剤まで強く拭き取るのではなく、垂れや飛散の原因になる余分な量を整えるイメージです。
チェーンルブをタイヤの接地面やブレーキディスクへ付着させないでください。
作業時は段ボールやウエスを後ろへ当て、飛散する方向を確認してからスプレーしましょう。
クリーナーだけ・ルブだけではダメ?
クリーナーだけでは油分が不足しやすい
クリーナーで古い油を落としたあと、そのままにするとチェーン表面の油分が少ない状態になります。
洗浄後は、取扱説明書と製品の指示に従って注油まで行うのが基本です。
汚れたままルブを重ねると汚れを抱えやすい
表面へ砂や黒い汚れが多く付いているときにルブだけを追加すると、古い汚れが残ったままになります。
毎回完全洗浄する必要はありませんが、触ると厚い汚れが付く、固まった油が目立つ、ローラーの動きが悪いといった場合は、先に清掃しましょう。
軽い汚れなら拭き取りと注油で済む場合もある
汚れが少なく、チェーンの表面が少し乾いている程度なら、ウエスで軽く拭いてから注油する方法もあります。
清掃が必要か迷う場合は、チェーンメーカーや車両メーカーが案内する方法を基準にしてください。
チェーンクリーナーとチェーンルブを使う順番
- エンジンを停止し、キーを抜く
- 平坦で安定した場所へ停める
- 段ボールやトレイで床と車体を保護する
- チェーンクリーナーで汚れを浮かせる
- ブラシとウエスで汚れを落とす
- 洗浄成分と水分を拭き取り、乾燥させる
- チェーンルブを内側から少量ずつ塗布する
- 製品指定の時間を置く
- 余分なルブを拭き取る
- タイヤ・ブレーキ・車体への飛散を確認する
1.エンジンを止めて作業する
ギアをニュートラルにし、エンジンを停止してキーを抜きます。
後輪を動かす必要がある場合は、車体を確実に安定させ、チェーンやスプロケットへ手を近づけず、ホイール側から少しずつ動かしてください。
2.床と周囲を保護する
チェーンの下へ段ボール、新聞紙、トレイなどを敷き、クリーナーや汚れが床へ広がらないようにします。
ブレーキディスク、タイヤ、塗装面へ飛散しないよう、ウエスや段ボールを当てます。
3.チェーンクリーナーを吹き付ける
チェーン全周へ少量ずつクリーナーを吹き付け、製品が指定する時間を置きます。
大量に吹き付けるより、汚れた場所を確認しながら進めるほうが扱いやすくなります。
4.ブラシとウエスで汚れを落とす
ローラー、プレート、シール周辺を優しくブラッシングします。
金属ブラシや先端の鋭い道具は避け、シールへ強く押し付けないようにしてください。
5.拭き取り、十分に乾燥させる
浮いた汚れをウエスで拭き取り、洗浄成分や水分が残らない状態にします。
乾燥時間は気温や使用製品でも変わるため、製品表示を確認しましょう。
6.チェーンルブを内側から塗る
チェーンとスプロケットが接触する内側から、ローラーとシール周辺を狙って塗布します。
少量ずつ位置をずらしながら全周へ行き渡らせます。
7.待ち時間を置いて余分なルブを拭く
塗布後は製品指定の時間を置き、余分なルブをウエスで軽く拭き取ります。
走行前にタイヤ、ホイール、ブレーキディスク、スプロケット周辺へ飛散していないか確認してください。
エンジンをかけて後輪を回しながら作業してはいけません。
指、ウエス、ブラシがチェーンとスプロケットへ巻き込まれ、重大なけがにつながる危険があります。
シールチェーン対応を確認する理由
現在のバイクには、チェーン内部のグリスを保持するため、OリングやXリングなどを使ったシールチェーンが多く採用されています。
クリーナーやルブを選ぶときは、パッケージに「シールチェーン対応」「Oリング対応」などの表示があるか確認しましょう。
チェーンの種類がわからない場合
車両の取扱説明書、チェーンの刻印、交換時の記録を確認します。
判断できない場合は、バイクショップへ車種と現在のチェーンを伝えて相談するのが安全です。
異なる製品を混ぜて使わない
クリーナーやルブは、成分や使用方法が製品ごとに異なります。
複数製品を混ぜたり、用途外の溶剤や潤滑剤で代用したりせず、表示どおりに使ってください。
初心者には、同じメーカーのチェーンクリーナーとチェーンルブをまとめて用意できるセット製品が選びやすいです。
候補は「RK純正メンテナンスセット」。RK純正チェーンルブ420ml、RK純正チェーンクリーナー420ml、メンテナンスマニュアルがセットになっており、洗浄と注油に使う用品を一度にそろえられます。
メンテナンスするタイミングは取扱説明書を優先する
この記事では、チェーンクリーナーとチェーンルブの違いと、清掃から注油までの作業手順を中心に解説しています。
実際にメンテナンスする時期は、所有するバイクの取扱説明書とチェーンの状態を基準に判断します。
雨天走行後や洗車後は、水分、汚れ、油分の状態を確認し、必要に応じて清掃・乾燥・注油を行ってください。
走行距離だけで一律に決めるのではなく、車種、使用環境、チェーンの種類、使用するケミカルの説明を優先しましょう。
バイクのチェーンメンテ頻度はどれくらい?注油・掃除・雨の日後の目安を解説
メンテナンス頻度、走行距離の目安、雨天走行後や洗車後の判断方法は、こちらの記事で詳しく解説しています。
チェーンメンテナンスでよくある失敗
| 失敗 | 起こりやすい問題 | 対策 |
|---|---|---|
| 汚れたままルブを重ねる | 砂や古い油を抱えたままになる | 汚れが多いときは先に清掃する |
| クリーナー後に注油しない | 油分が少ない状態で残る | 乾燥後に対応ルブを塗布する |
| ルブを大量に吹く | ホイールやタイヤへ飛散しやすい | 必要箇所へ少量ずつ塗る |
| 塗布直後に走る | ルブが定着せず飛び散る | 製品指定の待ち時間を守る |
| 強い溶剤を使う | シールを傷める可能性がある | シールチェーン対応品を選ぶ |
| エンジンで後輪を回す | 巻き込みによる重大なけが | エンジンを止め、手で少しずつ回す |
| ブレーキ・タイヤへ飛ばす | 制動やグリップへ影響する | 段ボールやウエスで保護する |
チェーンの異常を見つけたら
清掃中は、チェーンのサビ、固着、ローラーの動き、シールの損傷、スプロケットの歯、チェーンの緩みも確認できます。
- チェーンに強いサビや固着がある
- リンクが滑らかに曲がらない
- シールが飛び出している、損傷している
- 一部だけ極端に張りが強い・緩い
- スプロケットの歯が細く尖っている
- 走行中に大きな異音や引っかかりがある
清掃や注油だけでは直らない異常もあります。
チェーン調整や交換が必要か判断できない場合は、無理に走行せずバイクショップへ相談してください。
バイクツーリング前の点検チェックリスト|タイヤ・チェーン・ライト・オイル
長距離走行前にチェーンと一緒に確認したいタイヤ、ブレーキ、灯火類はこちらでまとめています。
洗車道具、水洗いの順番、高圧洗浄機やブレーキまわりの注意点はこちらで確認できます。
保存用:チェーン清掃・注油チェックリスト
- エンジンを停止してキーを抜いた
- 車体を平坦で安定した場所へ停めた
- 床、タイヤ、ブレーキ、車体を保護した
- チェーンの種類と対応製品を確認した
- クリーナーで古い油と汚れを浮かせた
- 対応ブラシとウエスで優しく清掃した
- 洗浄成分と水分を拭き取った
- 十分に乾燥させた
- ルブをチェーン内側から少量ずつ塗布した
- 製品指定の待ち時間を置いた
- 余分なルブを拭き取った
- タイヤとブレーキへ飛散していない
- サビ、固着、緩み、シール損傷を確認した
まとめ:クリーナーで落とし、ルブで守る
チェーンクリーナーは古い油や汚れを落とす洗浄剤、チェーンルブは清掃後のチェーンを潤滑し、サビや摩耗を抑える潤滑剤です。
基本の順番は、クリーナーで清掃 → 拭き取り・乾燥 → ルブを塗布 → 待ち時間 → 余分なルブを拭き取る、となります。
シールチェーン対応を確認し、タイヤやブレーキへ飛散させず、必ずエンジンを停止した状態で作業しましょう。
クリーナーとルブは、どちらかが上位互換という関係ではありません。
汚れを落とす係と、滑らかに動かして守る係。二つの役割を分けて考えると、チェーンメンテナンスの迷路から抜けやすくなります。
作業方法や指定距離、チェーンの種類は車種によって異なるため、最終的には所有するバイクの取扱説明書と使用製品の注意表示を確認してください。
D.I.D|モーターサイクルチェーンカタログ・メンテナンス情報
清掃方法、指定距離、使用できるクリーナー・ルブは車種とチェーンによって異なります。車両の取扱説明書、チェーンメーカー、用品メーカーの表示を優先してください。


